ホワイトソックス本拠地、US・セルラー球場の周りには、
何もありません。
一方カブスエリアはにぎやかです。スポーツバーだ、コメディ・シアターだ、と目抜き通りクラークStはダウンタウンに続くまでずずーっと明るい繁華街が続きます。その周囲の比較だけでも「カブス=ホワイトカラー、Wソックス=ブルーカラー」は歴然。
そんなさびれたセルラー球場の周りから、更に伝統が1つ姿を消そうとしています。
32ストリートにあるバー「JImbo's」が、立ち退き危機に直面しています。周辺に唯一のバーはこれまで22年間、観戦前の”かけつけ1杯”、遠征中の”仮スタンド”としてWソックスファンの憩いの場でした。しかし、お店が入っているビルのオーナーが「来年以降のリースを更新しない」とバーのオーナーに突然の通告。年度末にあたる9月30日までに店じまいしなくてはいけません。
シーズンが終わるのは10月1日なのに・・・
昨シーズンのホワイトソックスは、地区優勝とプレーオフ全シリーズを敵地でクリンチ(勝利を決めること)しました。他の都市まで応援に駆けつけられないファンはジンボでテレビを見ながら一緒にビールかけを行ったと言います。今年もWソックス人気は衰えず、チケットの売り上げは球団史上最高。伝統あるジンボを訪れるファンも増えました。
そこで、ビルオーナーは、ジンボの代わりに自分たちが店を出そうとしている、と。
このビルオーナーはデグラチア夫妻といって、非常に名が通った夫婦です。
どこで?
マシーンで、です。
主に政治的な”結びつき”をマシーンと呼びます。You scratch my back, I scratch your back(持ちつ持たれつ)の精神でこのマシーンはシカゴを動かしてきましたが、その中心は、Wソックス本拠地、USセルラー球場界隈のブリッジポートというエリアです。
ブリッジポートはリチャード・デイリー・シカゴ市長の出身として有名。親子2代市長とも、この地区の多大なるサポートを受けて今に至っています。そして、ジンボのビルオーナー、デグラチア夫妻はブリッジポート出身の熱心な、そして有名な、デイリー派。市役所の仕事に就いたり、選挙活動に熱心だったり、”裏のドン”ともつながりがあったりと、親戚ぐるみでシカゴの政治に根を張っています。
更にこの夫妻はシカゴで既に「Connie's Pizza」というピザのチェーン店で成功しており、皮肉にも試合の合間にスクリーンに映し出される「ピザレース(イニングの合間の息抜きの1つ)」のスポンサーでもあります。デイリー市長はWソックスの大ファン。ジンボが太刀打ちするには非常に大きな相手です。
もしかしたら、大きなグラスルーツ(草の根)活動で大逆転が起きるかもしれないし、デグラチア・ファミリーが気を変えるかもしれません。が、現段階では立ち退きまであと1か月。
非常に胸が痛む話です。
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